森田まさのり(漫画家/『ろくでなしBLUES』『ROOKIES』『べしゃり暮らし』)
僕がこの映画を観た直後、この要領の悪い理事長、「『二子玉川学園』の名称を使わせてほしい。」それだけを頼むために、 はるばる僕に会いにきた。
愚直さは時に嘲笑や侮蔑の対象でしかない事もある。ただそれであるが故に生まれるものもある。
物事はある一面から見ると、やたらと腹立たしくみえたり滑稽に映ったりする。
しかしてその本質とは何なのか。
ドキュメンタリーであるが故に正解はない。ただラスト近く、少年たちの表情が全てを物語っている。
森 達也(作家・映画監督)
テレビオンエア時から評判は聞いていた。だから予想はあった。覚悟していた。
でもそれ以上だ。ずっとずっと予想以上だ。
ただただ凄い。覚悟は打ち砕かれた。そして本当に本当に面白い。
観てほしい。絶対に観てほしい。
水道橋博士
強烈。2時間の上映時間、最初から最後まで全シーンが問い掛けのみ。
ここには結論も感動も何もない。
絶えず疑問符が脳裏に浮かび、絶えず心を揺るがされる。
この映像を自粛せず、あえて“晒す”製作者の意志からしても、
観客にしかと見届ける覚悟を強いる必見のドキュメンタリー。
松江哲明(映画監督/『フラッシュバックメモリーズ3D』など)
批判をする前に、なぜ彼らに笑い、憤り、感動させられてしまうのかをよく考えて欲しい。
そこに社会とあなたが映っていたからではないだろうか。
『ホームレス理事長』は日本を照らし、動揺させる。
宮地昌幸(アニメーション監督)
『ホームレス理事長』を観る。テレビでは切り落とされるグレーが沢山詰まっていた。
『ビッグダディ』より貧乏で、『ルーキーズ』より中二病をこじらせてて、『半沢直樹』より惨めな土下座が出てくる。
背反する単語の作品タイトルが示すように、賛否や白黒、栄光と挫折が、作品内で同居している。
テレビ界の誠意は、もはや映画の中でしか存在できないのか。東海テレビのドキュメントにハズレなし。
尾形誠規(鉄人社「観ずに死ねるか!傑作ドキュメンタリー88」編集人)
『平成ジレンマ』しかり『死刑弁護人』しかり、
描かれるは、またも常人の理解を超えたオッサンの生き様。
今回の主役は、かなりブザマで胡散臭い。
それでも最後まで見入ってしまうのは、
決して理事長の理念や志に惹かれたわけじゃなく、
矛盾と恥に満ち満ちた人生の本質を叩きつけられたから。
ビンタ9連発より、まさかの土下座に唖然!
内田 樹(凱風館館長)
興味深く拝見しました。
テレビのローカル局がこういう手間暇のかかるわりには、商業性のない作品を作るようになったのは「テレビはもう終わりかもしれない」という危機感に衝き動かされてのことではないでしょうか。
その危機感をもつ人々にしか「終わり」を先送りできるチャンスはないようにも思いました。